三日月のぱわぶろ

パワプロ再現選手をクラフトします。巨人関連多め。SEA中心にMLBも守備範囲です。

ルーグネッド・オドーアは日本で成功するのか?

開幕まであと約2週間となったプロ野球

その中で巨人ファンにとっての不安材料とも言えるのが、余り調子が上がって来ない新外国人ルーグネッド・オドーアの存在でしょう。

そこで今回は、果たしてオドーアは現在どのくらいの実力を有しているのか、過去の来日外国人とも比較しながらMLBで残したスタッツを見ていこうと思います。

 

1.基本スタッツ

まずは基本的な成績から。

去年のオドーアはサンディエゴ・パドレスに加入し、59試合の出場で打率.203 4本塁打 18打点 OPS.654を記録しています。

22年のボルモチア・オリオールズ時代よりもスタッツは向上しているのに出場試合数は減少していますが、これは単にパドレスが2Bに金河成、SSにザンダー・ボガーツ、3Bにマニー・マチャド、RFにフェルナンド・タティスJr.と余りにも強力な競合相手を抱えていたからでしょう。

近年来日した大物外国人と比較してみると、22年のマイケル・フランコOPS.597、マーウィン・ゴンザレスが.576、アリスティディス・アキーノが.609、シェルドン・ノイジーが.561、21年のフレディ・ガルビスが.709、グレゴリー・ポランコが.637となっています。

ガルビス・アキーノはまさかの大不振に陥りましたが、基本的には来日後にOPSが.050〜.100ほど上がっている選手が多いと考えると、オドーアOPS.700〜.750くらいの成績に落ち着く可能性が高いと言えるでしょう。

 

2.スタットキャスト

次はスタットキャストの数値を見ていきます。

スラッガーにとって特に重要と言えるバレル率を見てみると、昨年のオドーアは6.9%でMLB平均をやや下回る水準でした。

過去の外国人と比べてるみるとフランコが4.7%、ゴンザレスが5.9%、アキーノが8.2%、ノイジーが3.1%、ガルビスが4.9%、ポランコが9.6%となっています。

怪力自慢のアキーノや近年1番の当たりと言えるポランコにはやや劣るものの、悪くはない数字と言えるでしょう。

 

バレル率と並んで重要と言える平均打球速度はどうでしょうか。

昨年のオドーアは90.1mphでMLB平均をやや上回っていました。良いですね。

バレル率は平均以下なのに打球速度は速いと言うことは、本塁打にはならないものの外野の間を割って行くような鋭い打球が多くなるかも知れません。

左打者にとって地獄と言えるペトコ・パークから東京ドームに移る事でスタンドインする打球が増える可能性もありますが。

過去の外国人と比べてみるとフランコが87.0mph、ゴンザレスが88.0mph、アキーノが85.6mph、ノイジーが89.1mph、ガルビスが86.8mph、ポランコが89.9mphと全員オドーア以下の数値です。

 

最後に球種別の得点期待値を表すRun Valueを見てみましょう。

昨年のオドーアはフォーシーム+3、シンカー(日本で言う所のツーシーム)±0、カーブ+4と速球やカーブに強かった事が分かります。

反対にスライダーは-1、チェンジアップは-2となっており、落ちる系のボールにはやや脆さがあるようです(MLBのスライダーは大抵縦に落ちる。横変化の成分が大きいものはスイーパーに分類)。

サンプルは少ないもののスプリットに弱くスイーパーに強いと言うデータが出ており、やはり落ち球に弱く曲がり球に強いと見ていいでしょう。

この点は横曲がりするスライダーを投げる投手が多いNPBではプラスに働くかも知れません。

縦スラの名手である山岡泰輔や菊地大稀との対戦機会がほぼない環境で助かりましたね。

ポランコと比べてみると、彼はフォーシーム-14、それ以外は全てプラマイゼロか微妙なマイナスとなっており、実際半速球を拾うのが上手いポランコよりもストレートに対応出来る可能性が高いと言えます。

ここまでオープン戦でNPBレベルの直球に差され気味だったのは単なる調整不足ではないでしょうか。

 

3.その他の打撃指標

その他の打撃指標についてですが、まずはGB/FBから見ていきましょう。

これはゴロ打球の数をフライ打球の数で割ったもので、0に近いほどフライを多く打つ打者だと言えます。

昨年のオドーアは0.74で、かなりのフライヒッターと言えますね。

同時にラインドライブを打つ割合、LD%も25.0%とキャリア最高の数値を記録しており、ゴロは余り打たないと言う点は評価出来ます。

ポランコは0.87でややフライヒッター寄り、ノイジーは3.49で超ゴロヒッターでした。

そんな打者が日本では無理やり長打を狙うようなアプローチに切り替えているのですから、ポップフライが増えるのはある意味必然です。

 

次にインプレー打率を意味するBABIPを見てみましょう。

平均は大体.290くらいで、これより大きく上振れた選手は翌年揺り戻しが来て率が下がる事が殆どです。

逆に言えば不調の選手はこのBABIPが低く出ている事が多く、例えば昨年の丸佳浩は.247でめちゃくちゃ低かったです。今年はバウンスバックが期待出来ます。

昨年のオドーアも.247とかなり低かったんですが、オドーアの場合19年頃から毎年.250未満で安定しています。

原因として考えられるのはプルヒッターであるオドーアに対してシフトが機能していた事でしょうか。

NPBでは極端な守備シフトを積極的に敷くチームは存在しない(強いて言えば岡本和真や坂本勇人に対して引っ張りシフトを敷いてくる高津ヤクルトくらい?)のでMLBで残した打率以上に率を期待して良いかも知れません。

 

4.守備・走塁

まずは肩の強さを表すArm Strengthを見てみましょう。

昨年のオドーアは83.8mphと良いとは言えない数値です。

ただし、内野手は外野手に比べて低く出やすい為RFをメインに守ればもう少し高い数値が出ていた事でしょう。

弱肩でファンを悩ませていたポランコは80.8mph、NPBでは強肩と評価されているフランコでも83.0mphなのでスローイングの心配は不要と考えます。

 

次に足の速さを表すSprint Speedはどうでしょうか。

昨年のオドーアは26.8フィートでMLB平均を下回っています。

ポランコが27.2フィートだった事を考えると速くはないですが、NPB基準では丁度平均くらいでしょう。

UZRの走塁版と言えるUBRはキャリア全年度でプラスとなっており、昨年も1.8と非常に優秀でベースランニングの技術は高いはずです。

 

最後にUZRとDRSについてですが、昨年RFを49イニングしか守っていないのでスモールサンプル過ぎて余りアテになりません。

一応150試合換算のUZRを表すUZR/150は35.0となっており、破綻はしていなさそうです。

190イニング守った2Bに目を向けると、併殺完成や守備範囲は悪くないもののエラーの多さが祟りDRS -4、43.1イニング守った3Bはシンプルに下手でDRS -1となっています。

坂本のバックアップとしてコーナーを任せるのはやや不安ですが、2Bなら大きな問題にはならないのではないでしょうか。

少なくともケーシー・マギーに守らせるよりは遥かにマシな筈です。

他のOFと比較するとポランコはRFを784.2イニング守ってUZR/150-12.0、アキーノはRFを561.1イニング守ってUZR/150+15.8でした。

 

総じてMLBで残したスタッツはそれなりに期待が見込める内容で、仮に低調なスタートを切ったとしても開幕から1ヶ月くらいは我慢して使って欲しいと考えています。